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マウリ・クンナス作「ぐっすりメーメさんとあらくれアリー」

2013.8.1


「ぐっすりメーメさんとあらくれアリー」の表紙 猫の言葉社 2013

「ぐっすりメーメさんとあらくれアリー」の表紙 猫の言葉社 2013

「ぐっすりメーメさん 夜のおさんぽ?」の表紙 猫の言葉社 2009

「ぐっすりメーメさん 夜のおさんぽ?」の表紙 猫の言葉社 2009

「ぐっすりメーメさんの世界旅行」の表紙 猫の言葉社 2011

「ぐっすりメーメさんの世界旅行」の表紙猫の言葉社 2011

「ぐっすりメーメさんとあらくれアリー」の見返し

「ぐっすりメーメさんとあらくれアリー」の見返し

本に絵を描くマウリ

本に絵を描くマウリ

夏休みにぴったりの楽しい絵本ができました。ぐっすりメーメさんが住んでいる町タッスラに、移動遊園地がやってくるお話です。いろいろなアトラクションのほかに、オートバイで芸を見せるあらくれアリーもいます。今日は、アリーがオートバイで78台の自動車を飛び越えるという荒業に挑戦します。これが成功したら、もちろん世界記録!町じゅうが興奮しています。

今回のキーワードはツルコケモモ・ジュース。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ツルコケモモはちょっと酸っぱい赤い実です。ドラキュラ家では、たくさん自家製ジュースを作って倉庫に保管してあります。ぐっすりメーメさんは、なんと、このジュースを使って、大変なことをやらかします。

遊園地には、おばけギャラリーもあります。くらげおばけ、じゃんけんおばけ、電気おばけ、ノルウェーの黒悪魔、ぐっすりおばけさん(!?)等のほかに、バビロニア生まれのビンのおばけもいます。パワフルだけど、繊細なので、せまいビンの中にいるのが大好きという性格。このおばけは、あらくれアリーやぐっすりメーメさんと並び、今回の主人公です。

この本で初めてぐっすりメーメさんに出会った読者の方のために、ぐっすりメーメさんの歴史をおさらいしておきましょう。フィンランドでは、だれもが知っている人気者のぐっすりメーメさん。そもそもは、本の中でただ歩いているだけの脇役でした。ほとんどしゃべらない人物でしたが、「あっ、ここにいる!」と、子どもたちはぐっすりメーメさんを見つけると大喜び。

とうとう「ぐっすりメーメさん 夜のおさんぽ?」で本の主役になったのです。夜のお散歩にあちこちへ出かけます。朝起きると、どこへ行ったか全く覚えてないけれど、なぜか、町の問題を次々に解決してくれます。その活躍ぶりはニュースにも取り上げられ、市長さんから表彰されました。副賞にもらったのは、なんと、全自動おさんぽマシン。ぴったりですね!

「ぐっすりメーメさんの世界旅行」では、運よくデパートのくじに当たり、世界旅行に出かけます。エジプト、インド、中国、イタリア、ブラジル、チリ、カナダを訪問しますが、眠りながらお散歩をするメーメさんは、やりたい放題なのに、みんなから感謝されて外国でも人気者になります。

ぐっすりメーメさんが住んでいる町はタッスラ。本の見返し(表紙を開いてすぐのところ)には、タッスラの町が詳しく描かれています。前の見返しには活気あふれる昼間、後ろには寝静まった夜の様子。ここはマウリ・クンナスの故郷ヴァンマラ(現在はサスタマラという地名)なのです。マウリは、夏になると、故郷のサマーハウスで過ごします。雷が大好きで、よく雷の話をしています。「雷の少ない夏はつまらないな」と。

私は、だいたい毎年マウリの家に遊びに行きます。毎回ではありませんが、ときどき彼に絵を描いてもらいます。絵が上手なのは言うまでもありませんが、マウリは、描くのがすごくはやいです。絵本にサインを頼むと、言わなくても、サササ・・・と絵を描いてくれます。マウリの頭の中には、楽しい絵がいっぱい詰まっているのでしょうね。(稲垣美晴・記)

(この記事の文章および画像を無断で使用することを禁じます。(C)猫の言葉社)

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