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ヘルヤ・リウッコ=スンドストロムの世界
2011.10.31
ヘルヤのマグカップには、パソコンを使うウサギ、カラオケに興じるウサギ、病気になってお医者さんと看護師さんに来てもらうウサギなど、ウサギたちの日常生活(!?)が描かれています。生活感あふれるウサギたちを眺めながら、このマグカップで朝のコーヒーを飲むのも楽しいものです。
手の中に入ってしまうほど小さなウサギとネコは、飾っておいてもかわいいですが、これを握ることによって、ストレスを解消したり、手の機能を回復したりすることもできます。こんなにキュートな動物がついていたら、リハビリも苦にならないどころか、顔がほころんでくるのではないでしょうか。本当にヘルヤは、陶芸でありとあらゆるものを作りました。
「鳥」というボールは、たいへん美しいフォルムです。フィンランドのエスポー教会で、洗礼式の時に水を入れておく洗礼盤として使われています。サラダボールのように食器として使うこともできます。この「鳥」を作った後、1983年、ヘルヤは「風」というディナーセットを作ります。フィンランドの風景、風、草、木、水といったエレメントがディナーセット制作の出発点となりました。
ヘルヤは、四季のうち、特に春と初夏が好きだそうです。
「春になって雪が融け始めると、小川がまた音を立てて森を流れるでしょう。自然が冬の眠りから目覚めるのね。その頃は、想像力が豊かになって、新しいアイデアがどんどん湧いてきます。
子どもの頃には、初夏になると何度も野原に寝そべって、草がどんなふうに大きくなっていくのだろうと耳を傾けたものです。木や植物の音、動物たちの声もよく聴いたし・・・・・・。
森の中を散歩して木の香りを楽しんだり、風が強いときには、こずえが揺れる音を聞いたり・・・・・・。森の中は、いつまでいても飽きませんでした」
ヘルヤのお母様は学校の先生でした。
「幸せなことに、小さい頃から、想像力がたくましくなるようにと、母が育ててくれました。想像力、つまり脳の働きですが、脳に仕事を与えれば与えるほど、脳はますます活性化するものです。想像力によって、人は救われることもあるでしょう。私は、母から受け継いだ次の言葉を、人生のモットーにしています。―――足は地につけて、頭は雲の中―――」
ヘルヤのデザインはガラスにも使われています。これまでヒツジもたくさん描いてきましたし、様々なお花の絵も有名です。今秋は、新たに陶器の天使がフィンランドのお店に並ぶそうです。人々を守ってくれる天使・・・・・・動物のフィギュアと同じように、多くの人から愛されるでしょう。(稲垣美晴・記)〔本ホームページの画像及び文を無断で転載することを禁じます〕