ヘルヤ・リウッコ=スンドストロムの展覧会を開催します。題して「ヘルヤの花束展」。ヘルヤはこれまで、50年以上さまざまなセラミック・デザインを手がけてきましたが、今回、桜のきれいな季節に、主にお花の陶板のデザインを集めて、皆様にご覧になっていただこうという趣向です。
一口に陶板といっても、あまり馴染みの無い方には、ヘルヤが絵本の挿絵に使っている陶板がどんなものか、よく理解して頂けませんでした。
今回の展覧会には、大小さまざま陶板が展示されますので、ぜひ、ヘルヤの陶板の美しさを堪能してください。色がとてもきれいです。
アラビアのカタログを見ると、ヘルヤは実にたくさんの物をデザインしてきました。陶板をはじめ、ブローチ、動物のフィギュア、食器、時計など、数え切れない程のアイテムがあります。フィンランドでは、どこの家にも何かしらヘルヤのデザインしたものがあるのですから、フィンランドの工業デザインに大きく貢献したデザイナーと言えます。
これが、ヘルシンキにあるアラビアの工場です。6番の市電に乗ってガタガタと揺れているうち、終点近くになり、この煙突が見えるとほっとします。
ヘルヤはこの工場で週の半分を過ごし、尊敬する大先輩のビルイェル・カイピアイネンが使っていた大きなアトリエで、仕事をしています。
アラビアは、現在、ハサミで有名なFISKARSの傘下にあります。
ところが・・・
そのFISKARSが、昨年、アラビアの国内生産中止を発表しました。
そして、とうとう120人が解雇され、工場が閉鎖されることになったのです。
ヘルヤが所属するアート部門は残るようですが、1874年から142年も続いたアラビアの火が消えてしまうかと思うと、本当に残念です。
アラビアの窯は86mもあります。あの大きな窯はいったいどうなるのでしょうか。
「ピンチはチャンスよ」とヘルヤは言っているので、その言葉を信じましょう。
これは、アラビアの工場で1991年から2000年にかけて製造された「永遠の花」という高さ12cmの小物入れです。お花はチューリップとセントポーリア。
病院にお花を持ってお見舞いに行こうと思っても、植物アレルギーの人がいるので、生花は禁止されているという話を聞いて、ヘルヤがこのデザインを思いつきました。
病院だけでなく、こういうものが台所やリビングにあると、生活が本当に楽しくなります。
ここは、フンッピラにあるアトリエ・ヘルヤです。ヘルヤは週の半分をここで過ごします。
このアトリエは昨年の夏に10周年を迎えました。「毎日2時半から仕事をするの」という話を聞いて、夏だけのことかと思ったら、なんと1年中だというので、びっくりしました。夜中の静寂と孤独の中で、数々のアイデアやデザインが生まれたのでしょう。
アトリエ・ヘルヤで作ってくれたミニ陶板(約5×7cm)です。
こういうミニ陶板やブローチも展示しますので、どうぞご期待下さい。
猫の言葉社はヘルヤの絵本を3冊刊行しました。
展覧会で実際に陶板をご覧になり、美術と文学で表現してきたヘルヤの美しい世界を楽しんでいただければ幸いです。
「ヘルヤの花束展」の会場は、小田急線成城学園前駅から徒歩3分のところにある緑蔭館です。3月31日から4月6日まで。成城の桜がちょうど見頃だと思います。4月2日(土)と3日(日)には、サクラフェスティバルもありますので、ぜひ成城にいらしてください。
皆様のご来場をお待ちしています。
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