この本の著者は、フィンランドで長いあいだ人形劇に携わってきたマイヤ・バリチです。
彼女は保育士になる教育を受けた後、チェコのプラハ芸術アカデミーで人形劇を学びました。
帰国後、ヘルシンキに人形劇場SAMPO(サンポ)を作り、アート・ディレクターとして、人形のデザインからショーの企画や演出まで手がけています。
身の回りの物を使って、人形や道具や劇場を作り、人形劇を楽しむ方法が紹介されています。このページには、アイスクリームについてくる木のスプーンを使って作る人形が出てきます。写真ではなく、全ページ、クリスティーナ・ロウヒのやさしく愛らしい絵が説明についていますので、絵を見ているだけでも、なんだかウキウキしてくるような楽しさがあります。
手袋やミトンを使って作る人形もあります。工夫すれば、靴下も面白い人形になってしまいます。もう捨てようと思っていたタイツや穴のあいた靴も使えるんですよ。人形に被せるいろいろな帽子や服も自分で作れます。アイデアが満載ですね!
ページをめくっていくうちに、「あっ、これを作ってみたい!」と思うものが必ずあります。
私は、紙人形を作ってみました。といっても、自分で絵を描いたのではなく、ヘルシンキのサンポ劇場で買ってきた「テーブル劇場」に入っているCamilla Mickwitzの絵を切り抜いて割り箸に貼り付けたのです。
後ろは、こうなっています。こういう紙人形をいくつも作れば、人形劇ができますね。
ヨーロッパには紙人形の伝統があります。昔、裕福な家庭には、きれいなミニチュアの紙人形舞台があったそうです。そういう高価なものが買えない家では、靴箱を改造して舞台を手作りしていました。なんでも自分で作ると、愛着がわくものです。
どうぞ読者のみなさんも、自分なりの工夫をして、人形劇を楽しんでください。(稲垣美晴・記)
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