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「タトゥとパトゥのへんてこアルバイト」の作者

2015.3.23

フィンランドで大人気の面白い兄弟タトゥとパトゥの絵本を創ったのは、アイノ・ハブカイネンとサミ・トイボネンです。この二人は、絵本の制作でも家庭でもパートナーで、アイノ(妻)は1968年生まれ、サミ(夫)は1971年生まれ。二人とも、ラハティの美術大学でグラフィック・デザインを学びました。

フィンランドの天才絵本作家マウリ・クンナスの絵本に憧れて絵本作りを始め、「タトゥとパトゥ」シリーズが大ヒットしました。現在住んでいるのは、なんと、サスタマラにあるマウリ・クンナスの実家です。マウリのお母様が亡くなり、空家になったその家を譲り受けて住むことになったのです。

アイノとサミは中国から二人の女の子を養子に迎えて育てています。2007年に私が遊びに行った時は、その子達がまだ小さくて、仕事と子育ての両立に大変な時でした。彼らの絵本には、必ずどこかに、この四人家族が描かれています。家族連れ四人のうち、二人が黒髪の少女ですから、よく見ると、どこにいるかわかります。

猫の言葉社 2015

タトゥとパトゥは、へんてこ村のへんてこな兄弟です。ふしぎなものを見つけると、なんでも研究してみたくなります。
仕事ってな~に?
仕事ってどんなこと?
なぜ仕事をするの?
いろんなことが知りたくなりました。

そこで、二人は、大人がやっている仕事を、いろいろ体験してみることにしたのです。
パン職人、美容師、新聞記者、看護師、機械工、事務員、農家の手伝い、清掃員、大工、小学校の先生、音楽家、消防士。
タトゥとパトゥが12のアルバイトをします。

一見クレージーですが、作者は、ものすごく真面目に取り組んでいると思います。この一冊に、実にさまざまなお楽しみがギュッと詰まっているので、何度開いても新しい発見があるでしょう。

偕成社 2007年

「タトゥとパトゥ」シリーズは、フィンランドだけでなく、外国でも人気が出て、既に約20カ国で出版されました。その中で、翻訳第1号になったのが、「タトゥとパトゥのへんてこマシン」(偕成社・稲垣美晴訳)だったのです。

この本では、天才子ども発明家のタトゥとパトゥが、いろいろなマシンを発明します。子どもたちの生活が便利になるように「全自動おめざめ機」や「たべられないもの探知機」を作ったり、「増毛ヘルパー」で髭を生やして大人の会議に出席し、子どもの権利を主張したり・・・。タトゥとパトゥは頼もしい行動派です。

この本が出版されたのは2007年。2冊目の「タトゥとパトゥ」を待っていた読者は、もう大きくなってしまったかもしれませんが、もし、「職業」について考える年頃になっていたら、「タトゥとパトゥのへんてこアルバイト」はぴったりです。

フィンランド語の原書 OTAVA 2006

今回、AINO HAVUKAINEN と SAMI TOIVONEN のカタカナ表記を、「V」に「ヴ」を使わず、書誌情報が混乱しないように、偕成社のアイノ・ハブカイネンとサミ・トイボネンに統一しました。

「タトゥとパトゥ」はシリーズですので、次の本をお楽しみに!
(稲垣美晴・記)


(この記事の文章および画像を無断で使用することを禁じます。(C)猫の言葉社)

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