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マウリ・クンナス作「わんわん丘のゆかいな昔話」

2014.10.2

猫の言葉社 2014

マウリ・クンナスの楽しい絵本ができました。9話の面白いお話が詰まっています。

宝物のありかを知らせる光
かみなりが大きらいなおくさん
力くらべをした妖怪
こわいもの知らずの墓ほり人
納屋に住みついた女おばけ
森のふしぎなつり人
復活祭の魔女
森の精の通り道
すがたをあらわした水の精

これらは、作者の故郷ヴァンマラ(現サスタマラ)に古くから伝わるお話を、クンナス流のユーモアで味付けしたものです。「かみなりが大きらいなおくさん」だけは、雷が大好きなマウリの創作だそうです。

どのお話にも、どこかにぐっすりメーメさんがいるので、それを見つけるのも楽しいです。

「わんわん丘」は4冊のシリーズになっています。「わんわん丘のゆかいな昔話」はシリーズの4冊目です。なぜシリーズの最後の本から刊行したかというと、「わんわん丘」は、フィンランドの19世紀の生活について詳しく書かれているので、まずは、昔話の方が、日本の子どもたちにも親しみやすいのではないかと考えたからです。

OTAVA 2007

毎年1作ずつ時間をかけて新作を発表しているマウリ・クンナスですが、「わんわん丘のゆかいな昔話」を制作した2007年に、彼は心臓の手術を受けました。「ほとんど完成に近いところまで作業は進んでいたけど、5週間の入院生活から家に戻った時には、机に向かっても数秒しか仕事ができなかったんだよ」という話を聞いて、胸が痛みました。「わんわん丘のゆかいな昔話」は、マウリが命懸けで取り組んでくれた大切な作品ということになります。

「わんわん丘」第1作目 OTAVA 1980

マウリ・クンナスの第1作目の絵本は「フィンランドの小人たちトントゥ」でした。この本で1800年代のフィンランド人の生活をつぶさに調査したクンナスは、さらに自国の歴史を調べて「わんわん丘」の絵本を制作したのです。

「フィンランドの小人たちトントゥ」は、日本でもたいへん興味を持って読まれているロングセラーの絵本です。この本でフィンランドに伝わるお話を面白いと思った方々には、「わんわん丘のゆかいな昔話」も愛読していただけるのではないかと思います。

フィンランドの歴史を楽しく紹介する「わんわん丘」第1作目は、フィンランド政府文学賞を受賞しました。

「わんわん丘」第1・2・3作の合本 OTAVA 2006

現在フィンランド語で入手可能な「わんわん丘」の合本です。

(この記事の文章および画像を無断で使用することを禁じます。(C)猫の言葉社)

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