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「トントゥ」って、なーに!?

2010.5.3


(C) Mauri Kunnas

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トントゥは、たいてい小さな人間の姿に描かれますが、人間ではありません。もちろん、動物でもありません。地の精、建物の守り神なのです。

トントゥという言葉はフィンランド語です。tonttuと綴ります。これは、スウェーデン語のtomte(トムテ)が語源だそうです。スウェーデン文学では、小人の妖精をトムテと呼んでいます。tomteには、元来、家のある場所、敷地という意味がありました。スウェーデン語のtomteから、フィンランド語のtontti(敷地)とtonttu(地の精・家の守り神)という言葉ができたのです。

昔は、「敷地」に家を建てるとき、木で十字を作ると守り神が生まれると信じられていました。あるいは、その家を建てた人や最初に住んだ人、または、炉を作った人や炉に火をつけた人が、その家の守り神になるという言い伝えもありました。「炉」や「火」という言葉が出てきましたが、トントゥがかぶっている帽子の赤は、「火」の色と関係があると言われています。

家の守り神には、他の説もあります。その家で最初に死んだ人がその家の守り神になるというのです。男が死ねば男の守り神、女が死ねば女の守り神になり、男の守り神がいれば男の仕事がうまくいき、女の守り神がいれば女の仕事がうまくいくという言い伝えもあります。

昔の人たちは、家の守り神トントゥにおかゆをあげて大切にすると、その家に良い事があり、トントゥに意地悪をすると、その家に災いが起こると信じていました。ですから、トントゥにまつわる話は各地に伝わっています。

「フィンランドの小人たち トントゥ」では、マウリ・クンナスが、トントゥ伝説をつぶさに調べて、時代考証した絵を描いています。昔は、馬小屋、水車小屋、サウナ小屋のような建物はもちろんのこと、お皿やスプーンから桶や家具にいたるまで何もかも木でできていました。トントゥの足元を見ると、シラカバの樹皮で編んだ靴を履いています。

電気のない時代ですから、木片を燃やして明り取りにしていました。パンのまん中に穴を開けて天井の棒にさして保存するパン作りの様子もわかります。細部にいたるまで正確に描かれているので、フィンランドのトントゥ全盛時代(!?)の臨場感がたっぷり味わえることでしょう。

「フィンランドの小人たち トントゥ」には、トントゥの説明に続いて、どんなお話が入っているのか、目次をご紹介しましょう。さまざまなタイプのトントゥのお話をお楽しみください。(稲垣美晴・記)

*音楽のすきなトントゥ
*天じょううらのトントゥ
*かまどの上のトントゥ
*おこりっぽいトントゥばあさん
*サウナ小屋のトントゥ
*こくもつトントゥのけんか
*こくもつトントゥとぼたん
*牛小屋トントウのよそゆきドレス
*馬小屋トントゥとまめ
*こくもつ小屋のトントゥ
*クマとおどったトントウ
*コクのこくもつ小屋は粉みじん
*水車小屋のトントゥ
*トントゥのクリスマス

(この記事の文章および画像を無断で使用することを禁じます。(C)猫の言葉社)

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