猫の言葉社日記

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復活祭の奇跡

2014.7.1


猫の言葉社の1冊目の本「フィンランド語は猫の言葉」新装版を出版したのが、2008年4月ですから、現在、7周年目にあたります。これまで、ツイッタ―もフェイスブックもブログもやっていませんでしたが、ホームページをリニューアルする今日から、猫の言葉社日記を書くことにしました。ピックアップとは一味違った趣にするつもりですので、どうぞお楽しみに!

まずは、最新刊「いつまでも大切なもの」(ヘルヤ・リウッコ=スンドストロム作)の不思議なお話をしようと思います。ちょうどこの本を作っていた4月のことでした。ネット・サーフィンをしていて、たまたま、フィンランドのネット・オークションのサイトに行きつくと、なんと、「いつまでも大切なもの」の表紙に使ったヘルヤの陶板がオークションに出品されているではありませんか。陶板の画像が小さくて、わかりにくかったのですが、確かに表紙の陶板と同じでした。

表紙に使った陶板は1枚しか作らなかったのか。もしそうなら、その陶板なのか。いろいろ考えてみました。そのオークションでは、2週間売る期間があり、私が気づいたときは、あと5日で終わりだったのです。なんとかその陶板を買いたいと思いました。でも、ネット・オークションで物を買うって、いったいどうすればいいのでしょう。そこで、フィンランド人の友人に頼むことにしました。

友人に電話すると、「えっ、どうしたの? 復活祭のお休みだから、今、ストックホルムへ行く船の中なんだけど…。わかったわ。じゃ、ヘルシンキにもどってから、ネットを見るわね」とのこと。フィンランド人がよく行く豪華客船でのスウェーデンへの旅の途中だったのです。夕方ヘルシンキを出発し、船の中で一晩楽しんで、翌朝ストックホルムに到着。上陸して1日遊び、また夕方乗船し、翌朝ヘルシンキに到着。何とか間に合うでしょうか……

結局、他に買いたい人が現れず、友人が落とせることになりました。ヘルヤの陶板は、いつも人気がありますが、その陶板が、37年前に出版された絵本の中の一つだとわかった人は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。ヘルヤに確かめたところ、本が出版された時に、本の中で使われた2つの陶板(その陶板と、猫がソファーに乗って空を飛んでいく陶板)をアラビアが量産したそうです。でも、数は相当少ないとのこと。

その陶板を売りに出した方は、クオピオ在住の男の方でした。どなたか亡くなった方の遺品だったものを買ったそうです。奥様がヘルヤのファンで、たくさん買い集め、家じゅうの壁が、ヘルヤの物でいっぱいになってしまったので、ときどき処分しなければならない、ということだそうです。その陶板が、めぐりめぐって私のところに来るなんて、本当に不思議なことです。だから、私はこのことを、復活祭の奇跡と呼んでいます。

(この記事の文章および画像を無断で使用することを禁じます。(C)猫の言葉社)

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